あいさつ
ご挨拶
2025年問題という言葉をご存知でしょうか。まさに本年が2025年です。戦後の第一次ベビーブーム(特に昭和22~24年)に生まれた方を「団塊の世代」と称してきました。2025年には、その団塊の世代の方々が全員75歳以上となり、国民の5人に1人が後期高齢者になることによって、特に医療・介護体制の負担が増え、医療に携わる人材の不足が問題となるのは間違いないでしょう。
また、2040年問題という言葉もあります。すなわち、団塊の世代ジュニアの方々が65歳を超えるということで、さらなる働き手の減少という問題が迫ってきます。
このように、少子高齢化は国の存立をも揺るがしかねないような問題です。ただ、高齢者を生産性のない人々として嫌悪するような心性が若者に醸成されつつあることはまた由々しき問題と言えるでしょう。団塊の世代の方々に限らず高齢者は、戦後の日本の高度成長期を支えた主役です。敬意をもって接するべき存在です。
日本人の平均寿命は、コロナ禍でやや伸びが止まっていましたが、コロナ禍を脱して再び少しずつ伸び始めています。2023年の日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.14歳です。これは、2022年と比較して男性は0.04歳、女性は0.05歳延びています。
一方で注視せねばならないのは健康寿命です。平均寿命から日常生活に制限がある期間を差し引いた期間を指します。健康寿命は現在、最も新しいデータで、男性73歳弱、⼥性76歳弱です。男性は約8年、女性は約11年、誰かの手を借りなければ自立した生活ができないのです。問題は、誰が「介護」するかということです。
老人施設には公的なもの、私的なものを含め多くの種類があります。当施設は介護老人保健施設であり、多職種が連携してできるだけリハビリテーションを行うことで、自立を支援し要介護度を下げ、理想的には一旦自宅へ帰っていただくということが使命です。ただ、入所者の方々の抱えている疾患、けが、障害などは本当に様々であり、全ての入所者の方が在宅復帰できるとは限りません。回復が望めない場合は、入所者の方の尊厳を最大限尊重した「看取り」も行っています。
在宅復帰が可能となった方々には、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所(ショートステイ)、訪問リハビリテーションなどを提供するとともに、他のサービス機関とも連携して総合的に支援し、ご家族の介護負担の軽減に努めています。
入所された方々に対しては、自宅にいる環境に近いものを感じてもらいながら、集中的な維持期リハビリテーションを行っています。それは、常勤の医師、看護師、介護士、理学療法士、言語聴覚士、管理栄養士、ケアマネージャー、事務職などが密に連携して努力しています。
当施設には、同一法人内に「西奈良中央病院」があるため、入所者の方々の病状が悪化した場合は速やかに入院、外来診療受診が可能です。「西奈良中央病院」はもちろん、必要に応じて他の医療機関、介護施設、居宅支援事業所、地域包括センター、訪問看護ステーション、行政組織とも協働します。地域全体を考えることが重要です。
本施設は静かな住宅地の一角にあり、すぐ近くには日本最大の円墳である富雄丸山古墳が存在し、大変環境に恵まれた立地です。 職員一同、入所者ご本人、ご家族の立場に立ち精いっぱいのケアを心がけていますので、是非当施設入所、リハビリテーションをご考慮ください。
施設長 辻井啓之